第三章 ── いのち・しあわせ・あたたかさ
No.09

いのちがえがお

作詞:天野朝代/原詩:令和元年度愛知教育大学附属岡崎小学校2年2学級/作曲:弓削田健介
楽譜集 本文p.55

岡崎小2年2組の学級目標から。「地球には家族がいるから、地球がいい」。

Listenきいてみる
旅ワンくん
「いのちがえがお」は、岡崎小2年2組の学級目標から。「地球には家族がいるから、地球がいい」。 言葉と音の変化を聴いてみるワン!── 旅ワンくん
いのちがえがお 演奏

先生から子どもたちへのプレゼント曲として

Lyrics歌詞
1番

かがやく たいようのように
ゆめと きぼうと しあわせいっぱい
わははは はしゃいで わらってる
ララララ げんきに うたってる

2番

ながれる ほしたちのように
あいと ゆうきと やさしさいっぱい
ぽろぽろ かなしく ないてても
ララララ きこえる きみのこえ

1番サビ

いのちがえがお いのちがえがお
せかいじゅうのこどもたちも みんなみんな
いのちがえがお いのちがえがお
ちきゅうにひとつの たからもの

2番サビ

いのちがえがお いのちがえがお
とりもはなも かぜもそらも みんなみんな
いのちがえがお いのちがえがお
ちきゅうにひとつの たからもの

FOR TEACHERS & CHILDREN

先生と子どもたちのための資料集

Overview曲の概要
おすすめの場面学級・学年の歌、いのちやつながりを考える集会、明るいSwingを生かした発表
対象の目安斉唱から同声二部へ進む小学校中学年以上。低いA3と速いSwingに配慮する
テンポ・拍子♩=130、Swing、4分の4拍子
音域全声部総合A3〜C♯5。中央のドC4より短3度下から、中央のドより1オクターブと半音上まで
演奏時間約2分05秒〜2分15秒。素材シート記載値は2分07秒。実音源で要確認
Materials楽譜・音源
山田聡先生
楽譜には、歌い方のヒントがぎっしり書き込まれています。音源と両方そろうと、練習の道しるべになりますよ。── 山田聡先生
楽譜・CD
作品集「越えてゆけ」表紙
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Words to Expression歌詞の解説
ボス先生(中学校国語の先生)
言葉の意味は、一つに決めなくていいんです。「こうも読める」が見つかるたび、歌い方も増えていく。詩を読むのと、同じですね。── ボス先生
作者の説明で確認できること歌詞から広がる言葉の可能性
歌詞全体から読める一つの可能性

いのちを一つの表情へそろえる歌ではなく、笑う声も泣く声も、人も鳥も花も風も空も、同じ地球の宝物として結び直す可能性を持つ歌。

いのちがえがおという学級目標から始まりながら、2番には涙が入る。笑顔という言葉を、表情の形ではなく、存在が大切にされている状態として広く読むことができる。

気になる言葉を選んで、開いてみてください。

いのちがえがお作者の説明
読みの手がかり笑顔の表情だけでなく、いのちが大切にされ、つながっている状態とも読める
歌い比べ元気な掛け声/相手へ届ける呼びかけ/自分に確かめる声を試す
かがやく たいようのように
読みの手がかり太陽そのものになるのではなく、明るさや力を重ねた比喩
歌い比べ子音を明るく前へ出す/大きな拍の上で広く歌う歌い方を試す
ながれる ほしたちのように
読みの手がかり1番の太陽に対し、複数の星が流れる動きを置く
歌い比べ言葉を細かく弾ませる/母音をつないで流れを作る歌い方を試す
ゆめと きぼうと
読みの手がかり大きな将来像だけでなく、明日の小さな楽しみや安心も含められる
歌い比べ語ごとに区切る/一息の方向へまとめる歌い方を試す
あいと ゆうきと やさしさ
読みの手がかり一人で強くなることだけでなく、誰かを頼る勇気、待つやさしさも含められる
歌い比べ三語を同じ重さで歌う/一語ずつ音色を変える歌い方を試す
わははは
読みの手がかり意味を説明する言葉ではなく、声とリズムで笑いの動きを作る
歌い比べ大きく弾む声/小さくくすぐったい声/声を出さずリズムだけを示す方法を試す
ぽろぽろ
読みの手がかり涙が連続して落ちる様子を音の反復で示すが、泣く理由は決められていない
歌い比べ軽い子音で歌う/母音を柔らかくつなぐ/感情を大きく付けない歌い方を試す
ララララ
読みの手がかり具体的な説明を離れ、声だけで拍と仲間へつながる部分
歌い比べ一人ずつ受け渡す/二声で重ねる/ハミングに替える歌い方を試す
みんなみんな
読みの手がかり一人残らず同じにするのではなく、子ども、人以外の存在、異なる声を含む広がり
歌い比べ一語目を近く、二語目を遠くへ届ける/二語とも同じ距離で歌う方法を試す
ちきゅうに ひとつの たからもの作者の説明
読みの手がかり宝物を所有物として数えるのではなく、取り替えられない存在として歌う
歌い比べひとつを大切に置く/たからものへ一息で向かう/二声の響きを優先する歌い方を試す
AI Picture Story学校での取り組み例

AIと対話しながら、
歌詞から生まれた物語を一枚の絵に

こなっしー先生(小梨貴弘先生)
AIはたくさんの案を出してくれます。でも「これだ」と選ぶのは、歌を聴いた自分の心。友だちと絵がちがうほど、面白いんです。── こなっしー先生
この場所には、これから「いのちがえがお」の一枚絵が並びます。
学校では、こんな形で取り組めます
INDIVIDUAL

一人ひとりの物語をつくる

心に残った歌詞を選び、自分が思い浮かべた主人公、風景、色をAIとの対話で一枚絵にします。絵の違いが、そのまま歌の受け取り方の違いになります。

GROUP

グループで場面を持ち寄る

歌詞を意味のまとまりに分け、一人一場面ずつ案を出します。なぜその構図や表情にしたのかを話し合い、一枚の絵物語へまとめます。

CLASS

クラスに一枚を残す

学級で大切にしたい言葉を出し合い、先生が対話をまとめます。そのクラスだけの歌の受け取り方を教室に残せます。

進め方の一例

聴いて、言葉を選ぶ

歌を聴き、心が動いた歌詞と、その理由を短く書きます。

場面を言葉にする

誰が、どこで、どんな表情をしているか。浮かんだ色や光もAIへ伝えます。

案を比べ、話し合う

画像を作る前に場面案を読み、歌詞に合っているかを確かめます。

作って、直して、語る

絵を見て対話を続け、最後に「なぜこの絵にしたか」を自分の言葉で伝えます。

ChatGPTへの最初の指示例

合唱曲「いのちがえがお」を聴いて、心に残った歌詞と、浮かんだ場面をまとめました。この曲を五〜八場面の一枚絵にする案を考えてください。各場面について「歌詞の意味」「絵にする瞬間」「人物の表情」「色と光」を提案し、画像を作る前に私へ確認してください。私の解釈を大切にし、違う考えを勝手に決めつけないでください。
大切にしたいこと:AIの提案を正解にせず、歌を聴いた自分の感じ方を中心にします。画像内の歌詞は、最後に入稿譜と一文字ずつ照合します。学校や自治体の生成AI利用ルールに沿って行ってください。
Teaching Tips指導のコツ
ともちゃん先生
ぜんぶ一度にやらなくて大丈夫。クラスに合いそうなものを、今日はひとつだけ試してみてください。── ともちゃん先生

9〜12小節:低い始まりを軽く

ことば読み → A3の開始音 → 大きな4拍 → Swingを戻す。

17〜20小節:笑いと涙を同じ拍で

わはははだけ → ぽろぽろだけ → 音色を変える → テンポは保つ。

25〜28小節:休符も受け渡しの一部

上声 → 下声 → 休符を数える → 二声で呼び交わす。

29〜36小節:長い音を先に置く

保持音の声部 → 動く声部 → みんなみんなの着地点 → 全体。

37〜41小節:括弧の出口を分ける

1番だけ → 2番だけ → ピアノと接続 → 全曲。

Curriculum指導要領に沿ったポイント
フルティ先生(古川敏子先生)
指導要領って堅そうに見えるでしょ?でも、そこさえ押さえておけば、あとは自由なのよ。根拠を持って歌えることが、子どもの自信になるの。── フルティ先生

この曲で見取れる姿を、音楽の仕組みと歌詞の内容から整理します。

知識・技能

Swing、反復と括弧、二声の入り、イ長調と副属和音の響きを理解し、休符と音程を保って歌う

思考・判断・表現

太陽/星、笑い/涙、人/自然という歌詞の対応を、音色・強弱・声部交代と結び付け、複数の歌い方を選ぶ

共通事項6視点──手がかり・行うこと・深まる学び
視点曲にある手がかり歌いながら行うこと深まる学び
音色・強弱強弱記号が少なく、笑い・涙・呼び交わしが表情を作るわはははとぽろぽろを複数の音色で歌い比べる同じ旋律でも音色と相対的な強弱で意味が変わる
リズム・フレーズ♩=130のSwing、ララララ、細かな子音普通の8分音符とSwingを比べ、言葉のまとまりへ呼吸線を入れる拍の弾みと日本語の運び方が結び付く
音の重なり25小節以降の呼び交わしと二声一方を歌い、もう一方を聴く役割を交替する休符、保持音、動く声部が全体を作る
反復・変化9〜39小節を別歌詞で反復1番と2番の同じ小節を続けて歌い比べる同じ形式が対になる言葉を結び付ける
調・和音イ長調、C♯7・F♯7・B7・E7、短三和音主和音と副属和音を聴き、歌詞の同じ句を載せる長調の中にも緊張と陰影があると分かる
題材名・目標例

題材名の例

「いのちがえがお」の言葉と音の変化を聴き合い、歌い方をつくろう

対象の目安:斉唱から同声二部へ進む小学校中学年以上。低いA3と速いSwingに配慮する

目標例

  • Swing、反復と括弧、二声の入り、イ長調と副属和音の響きを理解し、休符と音程を保って歌う
  • 太陽/星、笑い/涙、人/自然という歌詞の対応を、音色・強弱・声部交代と結び付け、複数の歌い方を選ぶ
テーマへの配慮:いのち、家族、笑顔は、死別、虐待、病気、障害、家族と離れて暮らす経験へ触れうる。地球には家族がいるからという誕生の話を紹介する時も、家族の形や距離を一つに決めず、自分の家庭について話すことを求めない。歌詞にある鳥、花、風、空を、特定の家族像へ置き換えない。 笑えないこと、泣くこと、歌わないことを否定しない。わはははは実際の笑顔を見せなくても、リズム、手拍子、楽器、手話、ハミングで参加できる。いのちがえがおを、つらい人へ明るくなるよう求める標語にしない。

根拠資料:文部科学省 「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 音楽編」。ここに示した内容は、いのちがえがおの楽譜と歌詞から考えられる提案例です。学校や子どもたちの実態に合わせて調整してください。

Difficulty Mapこの曲の難所マップ
大志くん
つまずく場所は、だいたいみんな同じなんです。先にわかっていれば、怖くない。ひとつずつ越えていきましょう!── 大志くん
楽譜上の難所
練習順
9〜12小節・A1
楽譜上の難所♩=130のSwingで、A3を含む低い旋律から始まる
練習順大きな4拍を取る → ことばをSwingで読む → A3付近を軽く出す → 指定テンポへ近づける
13〜20小節・A2〜A3
楽譜上の難所1番と2番で語数が変わり、わはははとぽろぽろの子音が続く
練習順各番を別々に読む → 母音位置をそろえる → 子音だけ軽く置く → 9〜20小節をつなぐ
21〜24小節・A4
楽譜上の難所ララララの反復と三連符の感覚を保ちながら、次の弱起へ進む
練習順ラを一音で読む → 三連符の大きな拍を取る → 23小節の休符を数える → Bの入りへつなぐ
25〜28小節・B1
楽譜上の難所二声が異なる場所から入り、休符中に拍を見失いやすい
練習順上声だけ → 下声だけ → 休符を声に出して数える → えがおの受け渡しだけ練習 → 全音程へ戻す
29〜36小節・B2〜B3
楽譜上の難所二声の言葉と音価が異なり、相手につられやすい
練習順各声部の歌詞を色分け → 長い音の声部を保つ → 動く声部を重ねる → みんなみんなの着地点を合わせる
37〜41小節・結びと括弧
楽譜上の難所たからものの二声、1・2番括弧、反復の出口が連続する
練習順37〜39小節の和音をゆっくり取る → 1番の道順 → 2番の道順 → 41小節のピアノ終止まで通す
Teachers' Practice先輩先生の実践
天野朝代先生
先生方の小さな工夫が、となりの学校の宝物になります。この歌の実践、ぜひ聞かせてください。── 天野朝代先生
この場所には、これから先輩先生方の実践(歌い方・場の工夫・子どもたちの姿)が並びます。

実践者募集

この歌を学校で扱ってくださった先生、ほかの先生にもシェアできる工夫をお持ちの先生、ぜひご連絡ください。集まり次第、この場所に掲載していきます。

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Story作者の言葉
ゆげちゃんと旅ワンくん
この歌が生まれるまでのこと、すこしだけ話させてください。── ゆげちゃん

「いのちがえがお、なかよく本気」。

これは、愛知教育大学附属岡崎小学校2年2組の子どもたちが、自分たちで考えた学級目標でした。

歌を作ってほしいと最初に相談をくださったのは、担任の天野朝代先生です。子どもたちが大切にしてきたこの言葉を、いつか合唱曲にすることが、先生の夢だったそうです。

届いた歌詞を読んで、僕は嬉しくなりました。そこには、子どもたちの思いがそのまま詰まっていたからです。いのち、笑顔、家族、そして「いきているって すばらしい」というまっすぐな言葉。子どもたちのことばが持っているあたたかさに、僕のほうが教えてもらいました。

僕はその言葉に、できるだけ可愛らしいメロディーをつけたいと思いました。子どもたちが自分の言葉として歌えるように、そっと音をのせていく。そんな気持ちで作っていきました。

天野先生が、こんなことを教えてくださいました。

子どもたちが一番こだわったのは、「地球に ひとつの たからもの」という一節だったそうです。

ここを「地球」にするか、それとも「もっと広い宇宙」にするか。子どもたちは真剣に話し合ったといいます。そんなとき、ひとりの子が、こう言いました。

「地球には家族がいるから、地球がいい」

その発言を聞いた瞬間、多くの子がやさしい顔をしていた——先生は、その時の表情を今でも忘れられないと書いてくださいました。

先生からこの話を聞かせていただきました。宇宙の広さよりも、家族のいる地球を選ぶ。その小さな声の中に、この歌のいちばん大切なものを教えてもらった気がします。

「強い気持ちがあれば夢は必ず叶えられる」。曲が完成したとき、天野先生はそう実感したと話してくださいました。そして先生の夢は、さらに膨らんだそうです。「いのちがえがお、いのちがえがお」というフレーズを、これからたくさんの子どもたちに口ずさんでもらうこと。それが今の夢になった、と。

この曲は、茨木市少年少女合唱団のみなさんが録音してくれました。子どもらしい声で歌ってくださって、本当にありがとうございます。

いのちと、笑顔と、家族。子どもらしい笑顔と声で歌っていただけたら、嬉しいです。

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Credit収録
詞・曲
作詞:天野朝代/原詩:令和元年度愛知教育大学附属岡崎小学校2年2学級/作曲:弓削田健介
第三章 いのち・しあわせ・あたたかさ
録音
茨木市少年少女合唱団(指導:古宮真美子)