広がりをやめないウイルスの布団の中で、現実と想像の間を旅したくなった。
いつからだろう。遠慮のかたまりのような文章で、自分さえ読み返さない日記を書くようになったのは。
そしていつからだろう。「大人の事情」に失望して、日記を書かなくなったのは。
「入院中に日記、全部読んだよ、面白かった」と言ってくれた人がいた。誰にも気を使わずに面白おかしく書いて、写真もアップできない携帯ホームページに綴っていた学生時代の日記だ。いま、あの人がまた、運動会のゴールの瞬間骨を折って、病室のベッドの上で僕の日記を読んでもすぐにやめるだろう。忖度ばかりの日記は、面白くない。
あの頃とは違うから、誰も嫌な気持ちにならないように・・・とキョロキョロして何も書けなくなってしまったが、「想像です。フィクションです」という言い訳と、登場人物に語らせる、という技術があれば、骨を折ったK御門さんや、あなたも、楽しみに読んでくれる文章がかけるかもしれない。
小説家なんかは、想像と現実の狭間を行き来しながら文章をつむぐロープーなんだろう。ロープーとは、「プロ」の業界用語だ。「小説家はロープーのオイニー、ンプンプだ」と書き、この業界用語を訳すと「プロのニオイがプンプン」となる。一木弘行ティーチャーが教えてくれた。
というわけで、コロナちゃんは移動しにくい環境と引き換えに、これまでの旅を振り返りながら、想像と組み合わせて好き勝手なことを書くチャンスをくれたのだ。
というわけで、「放浪記」。気が向いたときにブログに書いていくから、読んでね。
小説化→テレビドラマ化→自分で主題歌を書く(笑)。
『日記』2020.7.6
いちにちのおわりは
プラグぜんぶはずして
こころのかいだんおりていく
かすかなろうそくのあかり
そうげんのようなそらのような
たどりついた
ひろいひろいかみのうえ
ぼくがだまると
にっきは かたりだす
せかいにぽつんと
いかされたささやかなそんぞい、ぼく
そしてあなたの ひとつきりの ものがたり
むきあいたくない わすれたい
かんじょうもあったけど
にげもさけもしなくていい
かなしみはきえないけど
あしたはべつのかたちになって
よりそってくれるから
まっしろなページのうえで
せつないともだちとハグしよう
それがあすへつづく日記
あたらしいじぶんとであう日記