「いいか弓削田。俺はバスケ、お前は合唱。
日本ではマイナーなスポーツと、マイナーな音楽だな。」
バスケの名コーチとして、九州からバスケの全日本に、
たくさんの選手を送り出してきた
大学時代の親友「いまもっちゃん」が
そんな風に言っていたのを思い出す。
いまもっちゃんは、こう続けた。
「中学校でバスケは今、人気がなくて、サッカー部とか野球部に子どもたちが
たくさん集まるんだ。でもな。マイナースポーツとかメジャースポーツとか、
俺には関係ねぇ。そんな言葉に惑わされずに、
好きなことを好きなだけ、とことん追及していくんだ。
俺はバスケが大好きな子どもに、いつでも最高のコーチができるように、
このマイナーなバスケというスポーツを極めるんだ。
お前も、合唱というマイナーな音楽かもしれんが、
歌うのが大好きな子どもたちに、最高の歌を届けろ。
お互いの道で、がんばろうぜ。」
いまもっちゃんの教え子たちのバスケの試合を、
一度だけ観に行ったことがある。
佐賀で34校中34位だった
ある小学校のバスケ部の監督になったいまもっちゃんが、
1年でチームを育て上げ、県の主要三大会のうち2つに優勝し、
三連覇にチャレンジした時の試合だ。
試合が始まったコートをみて、息をのんだ。
いまもっちゃんのチームは、明らかに背の小さな子たちばかり。
相手は背の高い子たちばかり。この身長差で、果たして勝てるのか。
しかしその小さな子どもたちが、
縦横無尽にコートを駆け回り、相手を翻弄していく。
横断幕には「小さかったら、高く飛べばいい」と書いてあった。
いまもっちゃんと保護者さんで作った、チームの合言葉だ。
試合終了の笛が鳴って、
いまもっちゃんが「うおぉぉぉ」と声を上げてガッツポーズをした時、
子どもたちがいまもっちゃんに駆け寄っていった時。
感動して、涙が出た。
いまもっちゃんはその後、
どんどんコーチとしての腕を発揮していき、
強豪並み居る福岡でも次々と実績を上げ、
全日本にたくさんの選手を輩出している。
「Amazonのランキングで1位になってるよ」
と友達が教えてくれて、
「合唱の楽譜ってマイナーな分野だからなぁ」と思いながらも
やっぱり嬉しくて、
いまもっちゃんのことを思い出しました。
この「1位」はあっという間に明日にはなくなるものかもしれませんし、
「1位」よりも、ずっと歌われ続けることが大事、って思っているんですが、
やっぱりうれしい。
いつも応援してくれている、みなさんのおかげです。
本当にありがとうございます。