父
「メイサ!学校に行かないで、なにしてるんだ。」
メイサ
「ごめんなさい……。お父さんのカメラ、勝手に……。」
父
「あっ!
これはな、うちがずっと大切にしてきたものなんだ!他のとは違うんだよ!」
メイサ
「ごめんなさい!この間ね、雲の形が、大空を自由に飛んでいる鳥みたいに見えて…
ものすごくきれいだったから。つい・・・。
この写真だよ!(さっき貼ったポスターを指差し)お父さん喜んでくれると思って・・・」
父
「うるさい!何がカメラだ。何が写真だ!
将来のことを考えろ!もう、写真じゃ、食っていけないんだよ!
お前が学校に行かないのは・・・こいつのせいか!こんなものがあるからいけないんだ!」
お父さんは、写真を派手に破いてしまう。
メイサ
「なにするの!ひどい!!」
父
「うるさい!写真なんて、ただの紙切れじゃないか!!」
メイサ
「お父さん!!やめて、やめて!!ひどいよ!どうしちゃったの?
私、今日から寮にいくんだよ。離れ離れになるんだよ!」
父
「おお、そうかそうか、あんなに行くなと言ったのに。あまったれが!
いいぞ、出ていけ!好きにしろ!ただな、出ていくなら、その上着は脱いでいけ!」
メイサ
「えっ!なんで!?」
父
「それは、オレが買ってやったものだろうが。さあ、置いていけ。」
メイサ、怖くなって上着を脱ぐ。
母、慌てて出てくる
「あなた!!!なにしてるの!」 母、メイサを父から遠ざけながら
「ごめんねメイサ。お父さんちょっと飲みすぎてるみたい……ごめんね、ごめんね」
父
「何が全寮制のフリースクールだ!普通に学校に行けばいいものを。ただの贅沢だろうが!
…さあ、その靴も脱いでいけ!靴下もだ!オレからもらったもの全部ここに置いて、出ていけ!!」
メイサ
「お父さんからもらったもの全部・・・(心臓を押さえる。「命」を想像させるために、たっぷりと)
だったら、この命もそうでしょう・・・じゃあ、ここに置いていくから!!!
もう、こんな命なんて・・・いらない!!!」
父
「ちくしょー!!!」(手を振り上げ、メイサを叩こうとする)
母
「やめて!やめて!(お母さん、止めにはいる。)メイサ、もう、行くよ。荷物、まとめなさい。」
メイサ、母、出ていく。暗くなり、お父さんにピンスポットが当たる。
父
「本当に行ってしまった…。ちくしょーちくしょ~!!
母さん…(空に向かってに話しかけるように)
おれ、おれ・・・どうしたら、いいのかな・・・」