第四章 ── ½成人式・感謝のうた
No.10

どんなときも

作詞・作曲:弓削田健介
楽譜集 本文p.59

½成人式のうた。親友・家族への手紙として、心からの「ありがとう」を。

Listenきいてみる
旅ワンくん
「どんなときも」は、½成人式のうた。親友・家族への手紙として、心からの「ありがとう」を。 言葉と音の変化を聴いてみるワン!── 旅ワンくん

演奏:大分・松岡小学校合唱部(指導:山本由美)

Lyrics歌詞
1番

いつのまにこんなに 時が過ぎていたんだろう
きらめく時間はいつも 早く過ぎてゆく

君と見た夕焼け
君と歌ったあの歌
君が教えてくれた 夢を描く素晴らしさを

流れてゆく季節のどんな場面も
心に消えない宝物になった
どんなときも どんなときも
そばにいて 支えてくれた 君がいたから

2番

いつだってあなたに 守られた僕がいたね
ときには叱ってくれた 優しいまなざし

10年後の僕を 遠い空に描いたら
憧れが呼ぶ方へ 夢を抱いて 次の空へ

強くなれる
大丈夫 飛んでゆける
あなたが消えない勇気をくれたから
どんなときも どんなときも 忘れない
支えてくれたあなたに「ありがとう」

コーダ

心から「ありがとう」

FOR TEACHERS & CHILDREN

先生と子どもたちのための資料集

Overview曲の概要
おすすめの場面二分の一成人式に限らず、節目の会、家族や友人へ思いを届ける音楽会
対象の目安小学校中学年以上。斉唱から二部へ進む構成を生かし、合唱導入にも使える
テンポ・拍子♩=88、4分の4拍子
音域全声部総合C4〜D5。中央のドC4から、その1オクターブ上のレまで(譜面目視による暫定実測)
演奏時間約4分20秒。素材記載値であり、完成音源による実測は要本人確認
Materials楽譜・音源
山田聡先生
楽譜には、歌い方のヒントがぎっしり書き込まれています。音源と両方そろうと、練習の道しるべになりますよ。── 山田聡先生
楽譜・CD
作品集「越えてゆけ」表紙
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Words to Expression歌詞の解説
ボス先生(中学校国語の先生)
言葉の意味は、一つに決めなくていいんです。「こうも読める」が見つかるたび、歌い方も増えていく。詩を読むのと、同じですね。── ボス先生
作者の説明で確認できること歌詞から広がる言葉の可能性
歌詞全体から読める一つの可能性

感謝を言えた人の歌ではなく、長い時間の中で支えられていたことに気づき、言い切れない思いを短い手紙として手渡そうとする歌。

1番と2番で宛先は広がるが、誰を思うべきかを指定する曲ではない。斉唱から二部へ広がり、最後に速度を落とす構成が、個人的な言葉を集団で丁寧に運ぶ。

気になる言葉を選んで、開いてみてください。

どんなときも
読みの手がかり「いつも同じ」ではなく、嬉しい時、困った時、離れた後など違う時間を一本につなぐ言葉として読める。
歌い比べ一息で包むように歌う/語ごとに時間を思い出すように置く。
あなた
読みの手がかり友人、家族、先生など一人に限定せず、歌う人が安全に置ける距離の相手を想定できる。
歌い比べ目の前の一人へ小さく届ける/客席の向こうへ広く届ける。
ありがとう作者の説明
読みの手がかり完成稿では、歌を手紙として大切な人へ感謝を届ける意図が説明される。
歌い比べ明るくすぐ渡す/言うまでに時間がかかったように、子音を急がず歌う。
手紙作者の説明
読みの手がかり1番は大学時代の友人へ手紙を書くように生まれたと説明される。相手の返事を要求せず、こちらから言葉を渡す形式である。
歌い比べ話し声に近い音色/長い線を保つ歌の音色。
思い出
読みの手がかり楽しかった出来事だけでなく、当時は意味が分からなかった時間が後から支えに変わることも含められる。
歌い比べ輪郭を少しぼかす/場面を一つずつ思い出すように言葉を明瞭にする。
友だち作者の説明
読みの手がかり1番の背景には大学時代の友人がいる。歌う際は、現実の交友関係を公表する必要はない。
歌い比べ親しい会話の軽さ/離れた相手を思う長い息。
家族作者の説明
読みの手がかり2番では家族を含む大切な人々を思ったと資料にある。家族だけへ意味を限定しない。
歌い比べ温かく内側へ響かせる/多様な相手へ開くように広い響きで歌う。
支える
読みの手がかり直接助ける行動だけでなく、記憶、言葉、存在が後から力になることもある。
歌い比べ下声を土台としてよく聞く/上声の線を前へ出し、支えられて進む形を作る。
こころ
読みの手がかり感情を全て説明する場所ではなく、言葉にできなかったものを最後にまとめる比喩として働く。
歌い比べ胸元へ小さく響かせる/母音を広げて相手へ開く。
成人作者の説明
読みの手がかり二分の一成人式の依頼と、作者自身の「三分の二成人」という見方が制作の入口になった。年齢の達成を祝うだけでなく、どの時点からでも過去を見直す考えにつながる。
歌い比べ節目を祝う明るさ/成長の途中を確かめる落ち着き。
AI Picture Story学校での取り組み例

AIと対話しながら、
歌詞から生まれた物語を一枚の絵に

こなっしー先生(小梨貴弘先生)
AIはたくさんの案を出してくれます。でも「これだ」と選ぶのは、歌を聴いた自分の心。友だちと絵がちがうほど、面白いんです。── こなっしー先生
この場所には、これから「どんなときも」の一枚絵が並びます。
学校では、こんな形で取り組めます
INDIVIDUAL

一人ひとりの物語をつくる

心に残った歌詞を選び、自分が思い浮かべた主人公、風景、色をAIとの対話で一枚絵にします。絵の違いが、そのまま歌の受け取り方の違いになります。

GROUP

グループで場面を持ち寄る

歌詞を意味のまとまりに分け、一人一場面ずつ案を出します。なぜその構図や表情にしたのかを話し合い、一枚の絵物語へまとめます。

CLASS

クラスに一枚を残す

学級で大切にしたい言葉を出し合い、先生が対話をまとめます。そのクラスだけの歌の受け取り方を教室に残せます。

進め方の一例

聴いて、言葉を選ぶ

歌を聴き、心が動いた歌詞と、その理由を短く書きます。

場面を言葉にする

誰が、どこで、どんな表情をしているか。浮かんだ色や光もAIへ伝えます。

案を比べ、話し合う

画像を作る前に場面案を読み、歌詞に合っているかを確かめます。

作って、直して、語る

絵を見て対話を続け、最後に「なぜこの絵にしたか」を自分の言葉で伝えます。

ChatGPTへの最初の指示例

合唱曲「どんなときも」を聴いて、心に残った歌詞と、浮かんだ場面をまとめました。この曲を五〜八場面の一枚絵にする案を考えてください。各場面について「歌詞の意味」「絵にする瞬間」「人物の表情」「色と光」を提案し、画像を作る前に私へ確認してください。私の解釈を大切にし、違う考えを勝手に決めつけないでください。
大切にしたいこと:AIの提案を正解にせず、歌を聴いた自分の感じ方を中心にします。画像内の歌詞は、最後に入稿譜と一文字ずつ照合します。学校や自治体の生成AI利用ルールに沿って行ってください。
Teaching Tips指導のコツ
ともちゃん先生
ぜんぶ一度にやらなくて大丈夫。クラスに合いそうなものを、今日はひとつだけ試してみてください。── ともちゃん先生

1〜9・前奏から歌い出し:8小節の前奏後、♩=88の落ち着いた拍へ入る

伴奏の4拍を数える → 8小節末で息を吸う → 最初の子音だけ合わせる → 音程

9〜16・斉唱:話し言葉に近い歌詞を、拍に遅れず滑らかに運ぶ

ことば読み → 母音唱 → 子音を短く戻す → 一息の範囲を決める

17〜24・和声の陰影:調号は同じまま、主調外の音を含む伴奏で音程感が揺れやすい

旋律を無伴奏 → 伴奏和音を聞く → ハミング → 歌詞で合わせる

25〜32・二部の開始:斉唱から二部へ変わり、下声が上声へつられやすい

下声だけ → 上声だけ → 一方をハミング → 二部を小さく重ねる

Curriculum指導要領に沿ったポイント
フルティ先生(古川敏子先生)
指導要領って堅そうに見えるでしょ?でも、そこさえ押さえておけば、あとは自由なのよ。根拠を持って歌えることが、子どもの自信になるの。── フルティ先生

この曲で見取れる姿を、音楽の仕組みと歌詞の内容から整理します。

知識・技能

斉唱と二部、反復括弧、meno mosso、ニ長調内の和声変化 演奏順と速度変化を理解し、相手声部を聞きながら旋律を保てる

思考・判断・表現

手紙としての歌、1番と2番の宛先、終盤の速度 距離、音色、強弱を複数試し、言葉に合う表し方を選べる

共通事項6視点──手がかり・行うこと・深まる学び
視点曲にある手がかり歌いながら行うこと深まる学び
音色・強弱斉唱、二部、mpからmf近くへ話す音色と遠くへ届ける音色を歌い比べる宛先の距離を声で表せる
リズム・フレーズ♩=88、話し言葉に近い歌詞ことば読みから息の線へつなぐ拍と自然な語りを両立できる
音の重なり25小節以降の二部斉唱と二部を続けて聞き比べる重なりが感情の厚みを作ると分かる
反復・変化同じ音楽の1番・2番宛先を変えた音色で同じ句を試す反復が新しい意味を生むと捉えられる
調・和音ニ長調内の色彩和音主調の安定と意外な和音を聞き分ける和音が言葉に陰影を加えると気づく
題材名・目標例

題材名の例

「どんなときも」の言葉と音の変化を聴き合い、歌い方をつくろう

対象の目安:小学校中学年以上。斉唱から二部へ進む構成を生かし、合唱導入にも使える

目標例

  • 斉唱と二部、反復括弧、meno mosso、ニ長調内の和声変化 演奏順と速度変化を理解し、相手声部を聞きながら旋律を保てる
  • 手紙としての歌、1番と2番の宛先、終盤の速度 距離、音色、強弱を複数試し、言葉に合う表し方を選べる
テーマへの配慮:家族、友人、感謝、成長の節目は、家庭環境、別れ、喪失、対人関係の傷に触れることがある。感謝する相手を決める、名前を書く、出来事を発表する活動を必須にしない。歌詞の語り手を演じる、架空の宛先へ歌う、ピアノや声部の役割だけを考える参加を用意する。 二分の一成人式という制作背景は紹介できるが、成長の仕方や家庭のあり方を一つにそろえない。感謝を言えないことを不足とせず、まだ言葉にならない感情も、休符や和声を聞く時間として曲の中に置けるようにする。

根拠資料:文部科学省 「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 音楽編」。ここに示した内容は、どんなときもの楽譜と歌詞から考えられる提案例です。学校や子どもたちの実態に合わせて調整してください。

Difficulty Mapこの曲の難所マップ
大志くん
つまずく場所は、だいたいみんな同じなんです。先にわかっていれば、怖くない。ひとつずつ越えていきましょう!── 大志くん
楽譜上の難所
練習順
1〜9・前奏から歌い出し
楽譜上の難所8小節の前奏後、♩=88の落ち着いた拍へ入る
練習順伴奏の4拍を数える → 8小節末で息を吸う → 最初の子音だけ合わせる → 音程
9〜16・斉唱
楽譜上の難所話し言葉に近い歌詞を、拍に遅れず滑らかに運ぶ
練習順ことば読み → 母音唱 → 子音を短く戻す → 一息の範囲を決める
17〜24・和声の陰影
楽譜上の難所調号は同じまま、主調外の音を含む伴奏で音程感が揺れやすい
練習順旋律を無伴奏 → 伴奏和音を聞く → ハミング → 歌詞で合わせる
25〜32・二部の開始
楽譜上の難所斉唱から二部へ変わり、下声が上声へつられやすい
練習順下声だけ → 上声だけ → 一方をハミング → 二部を小さく重ねる
33〜40・二部サビ
楽譜上の難所長いフレーズの中で子音と音程を両立する
練習順リズム読み → 母音でレガート → 声部別 → 二部 → 語尾をそろえる
40〜46・括弧とmeno mosso
楽譜上の難所1・2回目で経路が変わり、2回目は急がず終結へ入る
練習順42→2と40→43を確認 → 伴奏で二経路 → 43小節の新しい速さ → 歌を加える
Teachers' Practice先輩先生の実践
天野朝代先生
先生方の小さな工夫が、となりの学校の宝物になります。この歌の実践、ぜひ聞かせてください。── 天野朝代先生
この場所には、これから先輩先生方の実践(歌い方・場の工夫・子どもたちの姿)が並びます。

実践者募集

この歌を学校で扱ってくださった先生、ほかの先生にもシェアできる工夫をお持ちの先生、ぜひご連絡ください。集まり次第、この場所に掲載していきます。

実践・資料を送る

ボタンでメールが開かないときは、こちらへ:yuge@mbfc.or.jp

Story作者の言葉
ゆげちゃんと旅ワンくん
この歌が生まれるまでのこと、すこしだけ話させてください。── ゆげちゃん

この歌は、½成人式——10歳の節目で歌うために生まれました。「2分の1成人式の歌を書いてほしい」とリクエストをいただいたのが始まりです。

ところが、これがなかなか書けませんでした。「2分の1成人式の歌」というお題にまっすぐ向かおうとするほど、ふしぎと筆が止まってしまうのです。しばらく、ずっと止まったままでした。

そんなある時、ふと気づきました。当時の僕は30歳。10歳の2分の1成人式に対して、ちょうど「2分の3成人式」だな、と。10歳の子が、ここまで育ててくれた人や、友達や、家族へ「ありがとう」を伝えて、次の夢を誓う。それって、30歳の僕がやろうとしていることと、何も変わらないじゃないか——そう思えた瞬間に、ようやく扉が開きました。

そこからは、お題に向かうのをやめて、僕自身の手紙を書くことにしました。1番は、学生時代の親友のことを思い浮かべながら。あの人に宛てて手紙を書くようなつもりで言葉を綴っていくと、一緒に過ごした日々の思い出が次々によみがえってきて、嬉しい気持ちのまま、すらすらと書けたのを覚えています。「君と見た夕焼け」「君が教えてくれた 夢を描く素晴らしさを」——あの頃の景色が、そのまま歌詞になりました。

2番は、家族のこと。「いつだってあなたに 守られた僕がいたね」「ときには叱ってくれた 優しいまなざし」。ここでの「あなた」には、家族や、これまでお世話になったたくさんの人たちの顔を、ひとつひとつ重ねながら書いていきました。

だからこの曲は、お題に応えて作ったというより、僕がお世話になった人たちへ書いた一通の手紙のような歌です。10歳の子が歌うとき、その子自身の「あなた」の顔が浮かんでくれたら、嬉しいです。

「流れてゆく季節のどんな場面も 心に消えない宝物になった」。叱ってくれたまなざしも、一緒に見た夕焼けも、過ぎていく時間のなかで、かけがえのない宝物になっていく——僕はそんなふうに感じながら、この言葉を書きました。そして歌は「10年後の僕を遠い空に描いたら」と続いていきます。これまでの「ありがとう」をふり返ることと、次の空へ羽ばたいていくこと。その両方が、終わりに二度くり返される「ありがとう」に、そっと重なってくれたらと願っています。

この曲は2013年、音楽之友社の合唱作品集『Dream & Dream 〜夢をつなごう〜』の一曲として発表しました。今回の楽譜集では、あらためて大分・松岡小学校のみなさんが歌ってくださいました。歌っていただけて、本当にありがとうございます。さらに、僕自身が歌うオリジナル版もボーナストラックに併せて収めました。合唱で重なる声と、ひとりの声と、よかったら聴き比べていただけたら嬉しいです。

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Credit収録
詞・曲
作詞・作曲:弓削田健介
第四章 ½成人式・感謝のうた
録音
大分・松岡小学校合唱部(指導:山本由美)