第五章 ── 6年生に贈るうた
No.13

北極星のリレー

作詞・作曲:弓削田健介
楽譜集 本文p.70

受け取った光を、次のだれかへ渡していく。北の空に重ねた、希望のバトンリレー。

Listenきいてみる
旅ワンくん
「北極星のリレー」は、受け取った光を、次のだれかへ渡していく。北の空に重ねた、希望のバトンリレー。 言葉と音の変化を聴いてみるワン!── 旅ワンくん

演奏:黒沢尻北小学校

Lyrics歌詞
1番

春の扉 開いて
あなたはいま 旅立つ
光の拍手と
優しい笑顔に つつまれて
ありがとう あなたに
出会えたから いまがある
さようなら あなたの
素敵な夢が 叶いますように

2番

歌おう 涙を超えて
未来を描きながら
希望のバトンは続くよ
北極星ほしのリレーのように

ありがとう あなたに
導かれて 今日がある
さようなら あなたの歩む道に
あなたらしい 夢の花が
しあわせ いっぱい
咲き誇りますように

FOR TEACHERS & CHILDREN

先生と子どもたちのための資料集

Overview曲の概要
おすすめの場面卒業式、6年生を送る会、世代や時間を扱う音楽会
対象の目安小学校中学年以上。3拍子、2番だけ加わるII、終盤の転調を段階的に扱う
テンポ・拍子楽譜に速度数値の印刷なし、4分の3拍子。素材の伴奏ファイル名に112があるが要本人確認
音域全声部総合C4〜E♭5。中央のドC4から、その1オクターブ上のミ♭まで(譜面目視による暫定実測)
演奏時間約2分37秒。素材記載値であり、完成音源による実測は要本人確認
Materials楽譜・音源
山田聡先生
楽譜には、歌い方のヒントがぎっしり書き込まれています。音源と両方そろうと、練習の道しるべになりますよ。── 山田聡先生
楽譜・CD
作品集「越えてゆけ」表紙
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Words to Expression歌詞の解説
ボス先生(中学校国語の先生)
言葉の意味は、一つに決めなくていいんです。「こうも読める」が見つかるたび、歌い方も増えていく。詩を読むのと、同じですね。── ボス先生
作者の説明で確認できること歌詞から広がる言葉の可能性
歌詞全体から読める一つの可能性

一つの星や一つの世代が永遠に中心であり続ける歌ではなく、役割が移りながらも、受け取った光ややさしさを次の誰かへ渡していく歌。

過去と未来を大きく行き来する言葉を、1番では一本の声、2番では加わる声、最後は新しい調が支える。変わることと、つながることが同時に聞こえる。

気になる言葉を選んで、開いてみてください。

北極星作者の説明
読みの手がかり資料では、歳差運動により天の北極に近い星が長い年月で替わることが歌の発想として説明される。
歌い比べ一点を指すように音を集める/遠い空へ響きを広げる。
ほし
読みの手がかり題名の北極星にはほしのルビがある。専門語を、子どもが口にする身近な言葉へ開く。
歌い比べ子音を明瞭にして小さな点を作る/母音を長くして光の広がりを作る。
リレー作者の説明
読みの手がかり星の役割と学校の世代交代を重ねる中心比喩である。競争の順位より、受け取り、渡す動作に重心がある。
歌い比べ拍を明確にして走る感覚/相手を待って丁寧に手渡す感覚。
トゥバン作者の説明
読みの手がかり約5000年前の北の目印に近い星として資料で挙げられる。科学的な年代と役割は別資料で照合する。
歌い比べ遠い過去を柔らかく歌う/固有名をはっきり発音し、時間の標識にする。
ベガ作者の説明
読みの手がかり約12000年後の北極星に近い役割を担う例として資料に示される。
歌い比べ未来へ明るく伸ばす/まだ見えない時間として静かに置く。
読みの手がかり星の光だけでなく、前の世代から受け取る知恵、やさしさ、安心の比喩にもなる。
歌い比べ透明で細い響き/温かく周囲を包む響き。
伝統作者の説明
読みの手がかり6年生から在校生へ渡されるものとして資料で語られる。変えずに守る物だけでなく、次の世代が選び直す営みも含められる。
歌い比べ重みを持って長く歌う/次へ運ぶ軽い推進を持って歌う。
やさしさ作者の説明
読みの手がかり学校で育て、次へ渡すものの一つとして完成稿に示される。
歌い比べ小さな音量で近くへ届ける/音量は保ち、角のない母音で広く届ける。
忘れない
読みの手がかり全てを正確に記憶する義務ではなく、受け取ったものが形を変えて残ることとも読める。
歌い比べ子音を明瞭にして決意を出す/息を残し、記憶の揺らぎを含める。
読みの手がかり悲しみだけでなく、感謝、緊張、安堵など複数の感情が重なる身体の反応として読める。涙を見せる必要はない。
歌い比べ声を細くして内側へ向ける/息を止めず温かい響きで支える。
AI Picture Story学校での取り組み例

AIと対話しながら、
歌詞から生まれた物語を一枚の絵に

こなっしー先生(小梨貴弘先生)
AIはたくさんの案を出してくれます。でも「これだ」と選ぶのは、歌を聴いた自分の心。友だちと絵がちがうほど、面白いんです。── こなっしー先生
この場所には、これから「北極星のリレー」の一枚絵が並びます。
学校では、こんな形で取り組めます
INDIVIDUAL

一人ひとりの物語をつくる

心に残った歌詞を選び、自分が思い浮かべた主人公、風景、色をAIとの対話で一枚絵にします。絵の違いが、そのまま歌の受け取り方の違いになります。

GROUP

グループで場面を持ち寄る

歌詞を意味のまとまりに分け、一人一場面ずつ案を出します。なぜその構図や表情にしたのかを話し合い、一枚の絵物語へまとめます。

CLASS

クラスに一枚を残す

学級で大切にしたい言葉を出し合い、先生が対話をまとめます。そのクラスだけの歌の受け取り方を教室に残せます。

進め方の一例

聴いて、言葉を選ぶ

歌を聴き、心が動いた歌詞と、その理由を短く書きます。

場面を言葉にする

誰が、どこで、どんな表情をしているか。浮かんだ色や光もAIへ伝えます。

案を比べ、話し合う

画像を作る前に場面案を読み、歌詞に合っているかを確かめます。

作って、直して、語る

絵を見て対話を続け、最後に「なぜこの絵にしたか」を自分の言葉で伝えます。

ChatGPTへの最初の指示例

合唱曲「北極星のリレー」を聴いて、心に残った歌詞と、浮かんだ場面をまとめました。この曲を五〜八場面の一枚絵にする案を考えてください。各場面について「歌詞の意味」「絵にする瞬間」「人物の表情」「色と光」を提案し、画像を作る前に私へ確認してください。私の解釈を大切にし、違う考えを勝手に決めつけないでください。
大切にしたいこと:AIの提案を正解にせず、歌を聴いた自分の感じ方を中心にします。画像内の歌詞は、最後に入稿譜と一文字ずつ照合します。学校や自治体の生成AI利用ルールに沿って行ってください。
Teaching Tips指導のコツ
ともちゃん先生
ぜんぶ一度にやらなくて大丈夫。クラスに合いそうなものを、今日はひとつだけ試してみてください。── ともちゃん先生

1〜9・前奏から歌い出し:速度数値がなく、3拍子の揺れと歌の入口を集団で共有する必要がある

伴奏の1拍目を感じる → 3拍を歩く → 8小節末で吸う → 9小節の子音

9〜15・2番だけのII:1回目は休み、2回目だけ下声が加わる

IIは2番の入口だけ印を付ける → 初音を取る → Iを聞きながらハミング → 歌詞

16〜23・言葉と3拍子:日本語のまとまりが小節線を越え、1拍目を強くしすぎやすい

ことば読み → 3拍を手で円にする → 母音唱 → 子音を戻す

24〜38・二部:上下の旋律が別に動き、音程が近づく場所でつられやすい

声部別 → 片方を歌い片方は拍打ち → 小音量で二部 → 通常の響き

Curriculum指導要領に沿ったポイント
フルティ先生(古川敏子先生)
指導要領って堅そうに見えるでしょ?でも、そこさえ押さえておけば、あとは自由なのよ。根拠を持って歌えることが、子どもの自信になるの。── フルティ先生

この曲で見取れる姿を、音楽の仕組みと歌詞の内容から整理します。

知識・技能

3拍子、2番だけのII、反復括弧、F→A♭の転調 演奏順と声部の出番を理解し、3拍の流れと転調後の音程を保てる

思考・判断・表現

星、時間、リレー、伝統の比喩 音色、声部の混ぜ方、3拍子の揺れを複数試し、言葉との関係から選べる

共通事項6視点──手がかり・行うこと・深まる学び
視点曲にある手がかり歌いながら行うこと深まる学び
音色・強弱遠い星、やさしさ、Ah点のような音色と広がる音色を歌い比べる音色が距離と時間を表すと分かる
リズム・フレーズ4分の3拍子3拍を歩行と円運動で感じる1拍目を押さず、流れるフレーズを作れる
音の重なり1番のI、2番のI+II同じ箇所を一声と二声で聞き比べる声の追加が世代の参加を示すと捉えられる
反復・変化9小節からの1・2番2番で加わる音を意識して歌う反復が時間の移行になると気づく
調・和音ヘ長調から変イ長調転調前後の和音を聞き比べる調の変化が中心の移動を表すと分かる
題材名・目標例

題材名の例

「北極星のリレー」の言葉と音の変化を聴き合い、歌い方をつくろう

対象の目安:小学校中学年以上。3拍子、2番だけ加わるII、終盤の転調を段階的に扱う

目標例

  • 3拍子、2番だけのII、反復括弧、F→A♭の転調 演奏順と声部の出番を理解し、3拍の流れと転調後の音程を保てる
  • 星、時間、リレー、伝統の比喩 音色、声部の混ぜ方、3拍子の揺れを複数試し、言葉との関係から選べる
テーマへの配慮:卒業、伝統、涙、忘れないという言葉は、学校での経験が肯定的でない子や、別れ・喪失を経験した子へ負担を与えることがある。思い出や実体験の公開を求めず、過去の人、未来の人、星の交代という歌詞上の像だけを考える参加を認める。伝統を無条件に守るのでなく、何を受け取り、何を変えるかを選べるものとして扱う。 天文学の説明は、作者資料で示された制作背景と、現在の科学的説明を区別する。宗教的・哲学的な時間観を一つにそろえず、涙を見せること、強く感動することを成果のしるしにしない。

根拠資料:文部科学省 「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 音楽編」。ここに示した内容は、北極星のリレーの楽譜と歌詞から考えられる提案例です。学校や子どもたちの実態に合わせて調整してください。

Difficulty Mapこの曲の難所マップ
大志くん
つまずく場所は、だいたいみんな同じなんです。先にわかっていれば、怖くない。ひとつずつ越えていきましょう!── 大志くん
楽譜上の難所
練習順
1〜9・前奏から歌い出し
楽譜上の難所速度数値がなく、3拍子の揺れと歌の入口を集団で共有する必要がある
練習順伴奏の1拍目を感じる → 3拍を歩く → 8小節末で吸う → 9小節の子音
9〜15・2番だけのII
楽譜上の難所1回目は休み、2回目だけ下声が加わる
練習順IIは2番の入口だけ印を付ける → 初音を取る → Iを聞きながらハミング → 歌詞
16〜23・言葉と3拍子
楽譜上の難所日本語のまとまりが小節線を越え、1拍目を強くしすぎやすい
練習順ことば読み → 3拍を手で円にする → 母音唱 → 子音を戻す
24〜38・二部
楽譜上の難所上下の旋律が別に動き、音程が近づく場所でつられやすい
練習順声部別 → 片方を歌い片方は拍打ち → 小音量で二部 → 通常の響き
38〜44・反復の分岐
楽譜上の難所1回目は39〜43、2回目は44へ進む
練習順43→9と38→44を指で追う → 伴奏 → 歌を加える
51〜52・変イ長調
楽譜上の難所調号がフラット1個から4個へ変わり、最終部の初音が不安定になりやすい
練習順52小節の主和音 → 各声部初音 → 51小節末からハミング → 歌詞またはAh
Teachers' Practice先輩先生の実践
天野朝代先生
先生方の小さな工夫が、となりの学校の宝物になります。この歌の実践、ぜひ聞かせてください。── 天野朝代先生
この場所には、これから先輩先生方の実践(歌い方・場の工夫・子どもたちの姿)が並びます。

実践者募集

この歌を学校で扱ってくださった先生、ほかの先生にもシェアできる工夫をお持ちの先生、ぜひご連絡ください。集まり次第、この場所に掲載していきます。

実践・資料を送る

ボタンでメールが開かないときは、こちらへ:yuge@mbfc.or.jp

Story作者の言葉
ゆげちゃんと旅ワンくん
この歌が生まれるまでのこと、すこしだけ話させてください。── ゆげちゃん

北極星が、じつはずっと同じ星ではない――。みなさんは、ご存じでしたか。僕は、そのことを知ったとき、しばらく北の空のことばかり考えていました。

北の夜空のいちばん高いところで、いつも変わらず光っているように見える北極星。けれど地球はコマのように、ほんの少しずつ首をふっています(歳差運動といいます)。それにつれて、北の空の中心もゆっくりと移ろっていく。だから「北極星」の役目を担う星は、気の遠くなるような時間をかけて、まるでバトンリレーのように入れ替わっていくのです。

今からおよそ5000年前、エジプトでピラミッドが築かれていたころ、北極星だったのはりゅう座のトゥバンという星でした。ピラミッドの中には、この星に向けて造られたといわれるトンネルもあるそうです。それほど人々は、北の空のしるべを大切にしていたのですね。そしてはるか未来――今から1万2000年ほど先には、こと座のベガがその役目を継ぐといわれています。

何千年、何万年という時を超えて、星から星へと光のしるべが受け継がれていく。それを知ったとき、僕の胸に浮かんだのは、学校で出会う子どもたちのことでした。

学校のいちばん上に立つ6年生は、その学校の伝統や空気、やさしさといったものを、毎年下級生へと手渡していきます。やがて卒業して旅立っていく6年生も、これまでだれかから受け取ってきたたくさんの光を、次のだれかへと渡していく。北極星のリレーと、まるで同じだと思ったのです。

「ありがとう あなたに 出会えたから いまがある」。「さようなら あなたの 素敵な夢が 叶いますように」。この歌には、旅立つ人への感謝と、別れの寂しさと、その人の夢の幸せを願う気持ちを重ねました。送られる6年生の歌でもあり、バトンを受け取って「これから僕たちが頑張るよ」と誓う在校生の歌でもあります。

「あなたらしい 夢の花が しあわせ いっぱい 咲き誇りますように」。卒業していくあなたが、あなたらしいままで、思いきり咲き誇りますように。そんな願いを、北の空にそっと重ねました。卒業生と在校生が、星々のように希望のバトンをリレーしていけたら――そう願って作った歌です。

この曲は、岩手県北上市の黒沢尻北小学校のみなさんが、録音してくださいました。同声二部のこの歌を、よかったら、大切な人へ歌い継いでいってもらえたら嬉しいです。黒沢尻北小学校のみなさん、ありがとうございます。

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Credit収録
詞・曲
作詞・作曲:弓削田健介
第五章 6年生に贈るうた
録音
黒沢尻北小学校