2500円の立ち見席で宝塚を観た。きらびやかな舞台に合わせて、お客さんたちも華やかだ。ボーダーの布切れをかぶっただけ、みたいな僕は場違いに思えたが、客席後方の立ち見席には、新聞を敷いて場所取りをしている人や、公演中も前の人の肩をずっとモミモミしているおじさんがいたり。お客さまもいろいろ。
男役と女役のオクターブ違いのユニゾンが、新鮮で心地よかったり、歌の達人たちのコーラス、独特な世界観で新しいバンドアレンジ、意外だったのは、吉本新喜劇みたいな笑いがたっぷり詰まった物語。それらが絶妙に絡み合いながら、飽きさせない演出で、3時間があっという間に過ぎていった。
足を伸ばしてあげたり下げたり、誰もが一度は真似した、あのダンスの原点がここにあり、という瞬間は、やはり、おお~と思った。まわりの立ち見組も笑顔だった。
知っている曲が一曲もなくても、アレンジや演者の素晴らしさでこんなにも楽しませてもらえるのか、と感激。わざわざ全国から観に来たり、はまったりする人が大勢いるのもうなずけるし、それを何十年も続けてきた、という伝統を短い時間だけでも感じることができたのは、とても有意義な時間だった。
これからオリジナルミュージカルを創っていくにあたって、今日この日の3時間は、宝物になるだろうと思う。もっとたくさんの宝物作品を観てみたい。