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こんにちは。作曲家の弓削田健介です。
今回は、中学生の教科書(2.3年下巻)に掲載されている瀧廉太郎さんの「花」のご紹介です。
滝廉太郎は,明治時代の代表的な作曲家で「花」は、日本で作曲された最初の合唱曲だそうです。
明治12年に東京で生まれ、富山県や大分県で育ちました。
子どものころから音楽が好きで,15歳で東京芸術大学音楽学部に入学しました。
21歳で,代表作の「花」,中学唱歌「荒城の月」「箱根八里」,幼稚園唱歌「お正月」などを作曲しました。
22歳でライプツィヒ音楽院へ留学しましたが,2か月ほどで病気になり,帰国後,わずか23歳で亡くなりました。
短い人生だったため、作品の数は少ないですが、日本人の感性に寄り添う名曲は、たくさんの方々に歌い継がれています。
「花」合唱
すみだ少年少女合唱団は「花」を最も上手く合唱できる合唱団を目指して頑張っているそうです
「花」歌詞
春の うららの 隅田川(すみだがわ)、
のぼり くだりの 船人が
櫂(かひ)の しづくも 花と散る
ながめを 何に たとふべき
見ずや あけぼの 露浴びて
われに もの言ふ 桜木(さくらぎ)を
見ずや 夕ぐれ 手をのべて
われさしまねく 青柳(あおやぎ)を
錦(にしき) おりなす 長堤(ちょうてい)に
くるれば のぼる おぼろ月
げに 一刻も 千金の(ほんんとうにすばらしい)
ながめを 何に たとふべき
作詞:武島羽衣 作曲:滝廉太郎
歌詞説明
1番は、春の隅田川を、舟が進んでゆく様子が描かれています。
2番は夕暮れ、3番は夜の光景へと移り変わっていきます。
美しい歌詞を紐解きながら、情景を想像していてください。
春の うららの 隅田川(すみだがわ)
「うらら」とは、空が晴れて、日が柔らかくのどかに照っているさま。
麗らか(うららか)
のぼり くだりの 船人が
櫂(かひ)の しづくも 花と散る
「櫂(かひ)」は、船を漕ぐ道具。オール。
「花と散る」は、花びらのように散る。
ながめを 何に たとふべき
「何にたとふべき」は、何にたとえたらいいだろうか。
見ずや あけぼの 露浴びて
「見ずや」は、こんな素晴らしい眺めを見ないでいられようか。「見よ、ご覧なさい」といった意味でも使われる。
「あけぼの」は夜明け、明け方。
「露(つゆ)」は朝露(あさつゆ)。
われに もの言ふ 桜木(さくらぎ)を
「われにもの言ふ」は、私に語りかけるような。
見ずや 夕ぐれ 手をのべて
われさしまねく 青柳(あおやぎ)をき
「さしまねく」の「さし」は、語調を整えたり強めたりする接頭語。
「まねく」は「招く」。
錦(にしき) おりなす 長堤(ちょうてい)に
「錦おりなす長堤」は、美しく織られた錦のように花に彩られた川の長い堤防・土手。
くるれば のぼる おぼろ月
「おぼろ月」は、もやで霞んだ春頃の月。
げに 一刻も 千金の
「げに」は、本当に、いかにも、まちがいなく。
「一刻も千金の」は、ほんの少しの時間でも千金に値する、価値の高い様子。
本当に素晴らしい。
ながめを 何に たとふべき
美しい眺めを何にたとえたらいいだろうか
ピアノ伴奏
アルトパート練習用伴奏
ソプラノパート練習用伴奏
歌唱ポイント
ゆか先生がとても分かりやすく歌唱ポイントを説明してくださってる動画です。
テスト前におすすめです。
滝廉太郎の人生は・・・
組曲「四季」滝廉太郎
組曲《四季》のなかには、『春』は「花」、『夏』は「納涼」(作詞/東くめ)、『秋』は、「月」(作歌/瀧廉太郎)、『冬』は、「雪」(作詞/中村秋香)が収録されています。最後に『秋』の「月」の歌詞をご紹介させていただきます。
「月」滝廉太郎
ひかりはいつも かはらぬものを
ことさらあきの 月のかげは
などか人に ものを思はする
などかひとに ものを思はする
あゝなくむしも おなじこゝろか
あゝなく虫も おなじこゝろか
こゑのかなしき
(「瀧廉太郎 全曲集/小長久子編:音楽之友社より)
おわりに
このサイトでは、小中学校の音楽の授業で役立てていただける情報を発信していきたいと思っております。小中学校の行事や音楽会で使える合唱曲も作っていますので、聴いていただけたら嬉しいです。
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