ゆげちゃん
「フルティ、この間、合唱団の指揮者さんが『アインザッツに注意しよう』って、言ってたのを聴いたんですが、『アインザッツ』って、なんですか?」
フルティ
「『挿入する』とか『差し込む』といった意味の、ドイツ語だよ。音楽では、フレーズの「出だし」のことを言うね。ポップスやジャズの世界では使わないの?」
ゆげちゃん
「音の出だしのことは『アタック』ということが多いですね。ただ、合奏や合唱というよりも、一つの楽器の出だしのことを言っていることが多いですね。」
フルティ
「合唱や合奏では、フレーズが出る瞬間のタイミングをそろえることが大事なんだけど、音のない状態や、しばらくお休みしている状態から、たくさんの奏者がタイミングを揃えて音を出すことは集中力が必要なのよ。だから、アインザッツをそろえることも指揮者の大事な仕事の一つと言えるのよね。」
ゆげちゃん
「そういえば、フルティが好きな指揮者さんって、いるんですか?」
フルティ
「ヘルベルト・フォン・カラヤン。今まで何度もお墓参りに行ったぐらいよ。アインザッツと言えば、ベートーベンの交響曲第五番「運命」の一楽章の冒頭の「運命の動機」は、出だしのアインザッツが難しいことで有名なんだけど、カラヤンの振っているこの5番が、私は最高だと思ってるよ。時間があったら、見てみてね。」
ゆげちゃん
「すげ~。鬼気迫るというのはこういう演奏のことを言うんでしょうね!カラヤンのこと、調べてみたくなりました。」
フルティ
「でしょ。今度はカラヤンについて語りましょうか。」
ゆげちゃん
「はい!よろしくお願いします!」