合唱指導室まず、これだけ(土台)
フルティ先生
ここは フルティ&ゆげちゃんの合唱指導室。 音楽指導家 古川としこ(フルティ)先生——福岡県・佐賀県の中学校で35年、音楽室から子どもたちを見てきた人の指導術を、 作曲家 弓削田健介(ゆげちゃん)との掛け合いでまとめています。 出典はすべて共著『HAPPY MUSIC』(音楽之友社・第10版)と月刊『教育音楽』の2年間の連載。 はじめての方はトップから
BASIC / 聴き分ける、その前に

まず、これだけ

7つのポイントで聴き分ける前に、整えておくもの。
そして、子どもが飽きない発声練習のやり方。

「合唱の副読本や発声法の指導書には発声練習が大切と書かれています。しかし、ただオノマトペ的な 単純な言葉や母音だけでは、子どもはあきてきます。 発声練習が大切だと気づく前に、発声練習を省略するようになる危険性もあります。」 ── 『HAPPY MUSIC』p11
フルティ先生
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発声の5つのチェックポイントTHE FOUNDATION / おしりぼりぼりの手前

おしりぼりぼりで「どこを聴くか」を決める前に、ここが整っているかを見ます。

1
正しい姿勢のとり方
2
響きのイメージの
もたせ方
3
息の流れの方向性
4
共鳴体の確認
5
音色は顔の表情で決まる
(まゆ、上顎、目線)
この5つについて、本ではこう書かれています

「これらは、数多くの先輩方が伝えてこられたものだから、この本では省略させてもらって…… 私が講習会で先生方にお伝えしている、おすすめの練習法と発声練習を紹介するね (先生方に向けて書くから、丁寧語になるよ)」

『HAPPY MUSIC』p10。この一言が、この指導室をつくるきっかけになりました
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新しい歌に取り組むときの4段階リリリ唱 → ナナナ唱 → 母音唱 → 歌詞唱

この順番で練習していくと、美しく、言葉が前に響き、メッセージが伝わりやすい合唱になります。

1

リリリ唱

鼻と両目を結ぶ三角形の共鳴ポイント(鼻腔)に音を当てながら、旋律を「リリリ……」と歌います。 鼻腔以外にも頭蓋骨には共鳴ポイントがたくさんあります。小さな音量でもいいので、 「共鳴」を意識しながら音程をつかむ練習です。

大きな声を出そうとすると喉声になるので要注意
2

ナナナ唱

「あ」の母音は、響きが奥にこもってしまうことがよくあります。リリリ唱で響かせた共鳴ポイントを 意識しながら「ナナナ……」と歌うことで、音がこもらずに前に響き、音に厚みができます。 子どもは自然と眉毛を上げて、「んナんナんナ……」と、ほほを上げて歌うようになります。

リリリ唱→ナナナ唱を繰り返すだけで、音程とリズム、そして響きがそろう
3

母音唱

例えば「こえてゆけ」だったら「おええうえ」と、母音だけでつなげて歌う練習です。 同じ母音が続くと響きが落ちてしまうことが多いので、前へ上へと音を響かせることを 意識しながら練習します。息の流れをつなげる練習にもなりますよ。

4

歌詞唱

3つの唱法を練習し終わってはじめて歌詞唱に入ることで、飽きずに音取りができ、 「歌詞を早く歌いたい」という気持ちが高まっていきます。 歌詞唱では子音を立てながら、はじめて言葉のまとまりを意識して歌います。

出典=『HAPPY MUSIC』p10。この4段階は、FRTの Raise(展開)の中で使います。

わくわく言葉で楽しい発声通称「またか発声」

またか発声 母音の配列で選ばれた言葉

まめひろうのあと たねひろうのあと かねひろう 母音にすると「アエイオウオアオ アエイオウオアオ アエイオウ」
=口を開いたまま響かせやすい配列になっています
  • 特にアとエを発音する口の形を同じにすることが大切
  • 基本はアの口の形のままで、舌の位置や唇をすぼめさせたりして響きをつなげる
  • 発声に合わせて足踏みや屈伸をして身体を温める
  • この時、みんな笑顔になります
  • 動きを子どもに考えさせ、その動きをみんなでマネして歌うことも

笑い声が出る授業の始まりとなるのです。

子音に気をつけ母音発声調が変わっても、母音でつなぐ

指示に集中する発声 指導者が行を指定する

カケキクケコカコキ〜 / サセシスセソサソシ〜 ピアノ伴奏中、音程(調)を変えるときに
「カ」と言えばカ行、「サ」と言えばサ行を、すぐ歌います
  • 子音が変わっても、母音をつなげることで響きがつながり、歌いやすくなることを実感する
  • 指示に集中することで、これもまたわくわくした発声練習になる
  • 歌いやすい発音・歌いにくい発音に気づき、本格的な合唱曲の中でとても意識できる
  • 特に、一般的に使われる「SHINE」の発音と「カ&タ行」を意識する (→ し・子音のページ

生徒の心がわかるあいさつ発声授業を、歌声で始める

あいさつ発声 入学して最初の授業から

こんにちは あいさつを歌にして、姿勢と発声法の基礎を習得します

中学校では音楽の授業は年間35時間しかありません。学習指導要領に書かれている内容から、 一人の音楽科教師が3年間で音楽の能力を引き出していくという考え方が大切です。 そのために、学習内容を3年間で段階的に組み上げていく必要があります。

  • 利点その1。音楽の授業を歌声で始めることで、学級の雰囲気や一人一人の声とともに 心の状態まで観察することができ、子どもたちにあった声掛け、導入ができる
  • 利点その2。入学した時の変声前の声と、3年生で変声が完了した声までの変化を 生徒自身が感じ取ることができる

変声期の子どもたちへ

  • 1年生の時のバスパートの音域は歌えない子が多い。テノールの音域も出しにくくなったりして 変声期を実感でき、無理をさせないで歌わせることができる
  • 変声期の子は歌うのを嫌がったり、自分の声が聞こえにくくなったり不安な状態になるものです
  • 子どもの不安や迷いを解決しやすくなる
  • そして学級の担任に音楽科の「気づき」を伝えれば、生徒理解にもつながります
AND THEN

そして、自分だけの発声法を

「毎日の授業の基礎トレーニングも、楽しくなければ子どもは歌を楽しく感じることはできないと思います。 大切なことは子どもの実態に合わせて教師がねらいをもって発声の練習の方法を工夫することです。 たくさんの先生方が実践されている方法をためしてください。

そして、自分だけの発声法を生み出してください。
音楽室から生徒も教師も楽しく歌う学校が増えますように……」

── 『HAPPY MUSIC』p11

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