読者の皆さんへ
こんにちは。この本の半分を書かせてもらいました。古川敏子と申します。音楽と子どもが大好きな音楽科教諭です。現在、福岡県で公立中学校教諭として音楽室から子どもたちと学校教育を見つめ、自分にできることで子どもたちや後輩のみなさんが仕事をされている教育現場へ風を吹かせようとしています。また、県の指導主事を務めさせていただいた年から、「音楽指導家」として社会教育活動の指導も始めました。子どもたちには学校教育と同じように社会教育活動も必要だと思い、学校では体験できないことを通して人間力をはぐくんでほしいと動いています。
さて、この本について話をします。この本は、知名度もない、コンクール等で結果をだしているわけでない、名もない現役音楽科教師が、目の前にいる子どもたちに音楽のよさを伝えてきた「現場の指導実践録」となっています。音楽科は学校に一人の時代です。学校行事に欠かせない音楽活動を一人で担っている先生も多いことでしょう。この本が若い音楽の先生方の授業・行事のすぐ使える「実践アイディア集」に使ってもらえたらなぁと願っています。(古川敏子)
はじめまして。作曲家の弓削田健介と申します。旅をしながら、出会った感動・実体験をもとに、小中学生のクラス合唱曲を作る活動をしています。歌を作ることと並行して行っているのが、子どもたちの表現力を高めることを目的とした映像教材の製作です。こちらは、代表を務めておりますNPO法人Music&Book Fanclub with Children(MBFC)」を通じて、全国の子どもたちと共に、行っています。その中で、古川敏子先生が音楽監督をされている「ティーンズミュージカルSAGA」や歌唱指導・ミュージカルステージで携われている「精華女子高等学校吹奏楽部」の子どもたちの活き活きとした音楽活動に感銘を受け、今回の共著のお願いをしました。
この本では、行事に合わせて作曲した8曲を実践例とし、古川先生が培われてきた指導術やコツを、あますことなく伝授していただいています。難しい言葉を使わずに、読みやすく、学校現場ですぐに役立てていただける本を目指しました。
一緒に楽しんでいただけたら幸いです。
(弓削田健介)
ゆげちゃん
「フルティこんにちは~!」
フルティ
「ゆげちゃんこんにちは!いよいよ本がでたね!」
ゆげちゃん
「音楽之友社の雑誌『教育音楽』での2年間の連載が実を結んだんですね!感激です。」
フルティ
「楽しかったよね~」
ゆげちゃん
「この本ですが、どんな本にしましょうか。フルティの教員人生35年間の集大成でもありますしね。」
フルティ
「難しいをわかりやすく。深いことをおもしろく。これが大事よ!あと、本の流れに統一感が出るように、柱が必要ね。ゆげちゃんの新曲集でもあるから、1本目の柱は楽曲!」
ゆげちゃん
「『フルティマジック』と呼ばれている、フルティの指導術も知りたいです。スクールコンサートに伺う時に、フルティが歌唱指導をしているティーンズミュージカルSAGAや精華女子高等学校吹奏楽部の子どもたちの映像を観てもらうことがあるんですが、先生方からの『あの子たちの輝きを引き出す、古川先生の指導法を知りたい』という声が多くて。」
フルティ
「じゃあ、指導術を2つ目の柱にしましょう。」
ゆげちゃん
「他にも、フルティが若い先生を指導するときに多い質問とかってあるんですか?」
フルティ
「『歌唱指導をどういう流れでやったらいいかわからない』かな。だから、秘伝のチェックリストを作って渡してる。」
ゆげちゃん
「秘伝ですか!面白そう!」
フルティ
「あと、現場では最近ICT活用が叫ばれてるわね。ゆげちゃん、映像制作とか得意でしょ。作者からの動画メッセージとか、振り付け動画とか。あれは喜ばれる。」
ゆげちゃん
「そうですね。じゃあ、web特設ページを作って、本書と連動させましょう!」
フルティ
「よし!じゃあweb特設ページが3本目の柱!『ゆげちゃんの歌を題材にして、歌唱指導の流れやコツが身につく本。(webと連動)』これで行きましょ!」
ゆげちゃん
「はい!」
フルティ
「では、最初にいちばん大事な『歌唱指導のFRT』からはじめるぞよ・・・」
ゆげちゃん
「FRTって、なんですか?」
フルティ
「えっ!FRTだよ。気づかないの?」
ゆげちゃん
「まさか・・・Fフ・Rル・Tティじゃないでしょうね」
フルティ
「人生には3つの坂がある!上り坂、下り坂、そして、そのマサカよ!」
ゆげちゃん
「は・はい…。はやく教えてください。」
・CDつき(範唱音源/カラオケ音源)収録
・web特設ページで、著者による解説音声や、ダンスの振り付け動画が視聴できる
鼻と目の間にある三角形の共鳴ポイント(鼻腔)に音を当てながらリリリ…と歌う。
小さな音量でもいいので、共鳴を意識しましょう。響く場所に音をあて(集め)ながら、音程をつかむ練習です。大きな声をだそうとすると、喉声になってしまうので要注意。
「あ」の母音は、響きが奥にこもってしまうことがよくあります。リリリ唱で響かせた共鳴ポイントを意識しながらナナナ…と歌うことで、音がこもらずに前に響き、音に厚みができます。口を横にあけてベチャっと歌ってしまわないように注意しましょう。
例えば「こえてゆけ」だったら「おええうえ」と、母音だけでつなげて歌う練習です。同じ母音が続くと響きが落ちてしまうことが多いので、前へ上へと音を響かせることを意識しながら練習をします。息の流れをつなげてる練習にもなりますよ。
3つの唱法を練習し終わってはじめて、歌詞唱に入ることで、飽きずに音取りができ、『歌詞を早く歌いたい』という気持ちになります。子音をたてながら、はじめて言葉のまとまりを意識して歌います。