わたあめ(歌詞)
(1番)
わたあめの秘密を 僕は知っている
スプーン一杯のザラメが
でっかいわたあめになるんだ
少し背が伸びた頃 僕は考えてた
ザラメがでっかいわたあめになっちゃう理屈を
わかりかけたところで 考えるの、やめたんだ
秘密は秘密でいいんだ 理屈はいらない
ザラメざらざら くるくるり
ほらねほら ふわりふわふわ
ザラメざらざら くるくるり
わたあめ ふわり
(2番)
思い出の秘密を僕は知っている
偶然出会った僕らが でっかい思い出になるんだ
かなり背も伸びた頃 僕は考えてた
僕らがでっかい思い出になっちゃう理由を
わかりかけたところで 考えるの、やめたんだ
秘密は秘密でいいんだ 理屈はいらない
ザラメざらざら くるくるり
ほらねほら ふわりふわふわ
ザラメざらざら くるくるり
わたあめ ふわり
わかりかけたところで 考えるの、やめたけど
なぜだか涙滲むんだ 理屈なんてない
ザラメざらざら くるくるり
ほらねほら ふわりふわふわ
ザラメざらざら くるくるり
わたあめ ふわり
作詞:河室賢明 作曲:弓削田健介
「わたあめ」誕生物語
ホスピス病棟に初めて訪れたのは、ジャズピアノを習い始めた20歳のころ。
東京から各地でのレッスンと演奏の旅をしながら九州に来られる、さすらいのジャズピアニスト・野田正純先生に連れられて、ドキドキしながら見学に行きました。
患者さんやご家族に紙を渡して「どんな曲でもリクエストしてください」と告げ、患者さんの思い出の曲を次々と演奏していく先生の姿に、とても感動しました。
英文学の研究をされていた、という患者さんが「ビートルズが聴きたい」と手を挙げられたのを見て先生は、見学のつもりで来ていた僕を突然指名しました。
ガビーン!
そして、震える手で、ちょうど練習中だったyesterdayを弾き歌いすることに・・・
「下手くそでごめんなさい」と言い訳する僕に、その患者さんは言いました。
「うまいとか下手とか関係ないよ。気持ちが大事なんだ。君のような若い子が、ここに演奏に来てくれるだけで、我々は嬉しいから、きっとまた、演奏に来てね」
そんなきっかけで、何度も訪れるようになったホスピス。そして、みなさんが幼いころに聴いた童謡のリクエストに応えていくうちに、改めて童謡・唱歌の素晴らしさに気づきました。
また、「幼い頃の思い出が歌と共にあふれだしてくる」という患者さんたちの言葉に、人生の最後の瞬間まで、僕たちの心の支えになってくれる歌たちがあることに気づきました。
そしていつしか、「そんな曲を作ってみたい」と思うようになったのです。
さて、「わたあめ」の歌詞は、一緒にホスピスに来てくれていた、演歌や歌謡曲を歌うのが得意な、友人の河室賢明くんが書いてくれました。
今は、佐賀県の中学校で国語の先生をしています。
人生は夏休み
「思い出」をテーマに書かれたこの歌を歌っていると、ホスピスで出会ったあるおじさんのことを、いつも思い出します。
ジャズが大好きなおじさんでした。僕に「人生ってなにかわかるね?」と問いかけてこられた時、僕は答えられませんでした。
そして正直に「まだ大学生の僕には、わかりません。よかったら、教えてください」と尋ねました。
するとおじさんは、「夏休みみたいなもんだったよ」と一言。「どういうことですか?」と僕が尋ねると、おじさんはこう言いました。
「夏休みみたいに、あっという間にすぎたよ。そして夏休みみたいに、宿題みたいな嫌なこともたくさんあるけど、夏休みみたいに、最後は思い出がたくさんできる。
最後はお金も名誉もぜーんぶ関係なくなって、友達と思い出が助けてくれる。ゆげちゃんは友達と思い出を大切にな。」
一緒に唄っている仲間たちと出会えた奇跡、そんな仲間たちと「いま」という時間を共にすごせる奇跡。
そして、そのすべてが「思い出」という宝物になっちゃう奇跡を感じながら、楽しく元気に、歌ってもらえたら、嬉しいです。