子どもたちが何か質問したとき、「当たり前」「そういうものだから」と答えていませんか?
金子みすゞさんの詩「不思議」では、子どもと同じ目線に立ち、自然現象や大人に対して疑問を投げかけます。
こんにちは、作曲家の弓削田健介(ゆげたけんすけ)です。
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今日は「不思議」詩全文や解説を紹介します。
「不思議」全文
「不思議」の詩全文はこちらです。
わたしは不思議でたまらない
黒い雲から降る雨が
銀に光っていることがわたしは不思議でたまらない
青いクワの葉食べている
蚕が白くなることがわたしは不思議でたまらない
たれもいじらぬ夕顔が
一人でパラリと開くのがわたしは不思議でたまらない
たれに聞いても笑ってて
あたりまえだということが
※金子みすゞさんの写真と詩はJULA出版社内「金子みすゞ著作保存会」の了承を得て掲載しています。
「不思議」解説
「不思議」について解説します。
特に、視野が広がり始める小学生中学年(3〜4年生)の授業に向いています。
リズム(韻律)が気持ちいい
詩「不思議」は全体的に同じリズム(韻律)です。
「わたしは(4)不思議で(4)たまらない(5)
黒い(3)雲から(4)降る雨が(5)」
3音・4音・5音を繰り返し、最後だけ
「あたりまえだ(6)ということが(6)」
と崩します(破調)。
反復(リフレイン)と破調が声を出して読んでいると、気持ちいいと感じるでしょう。
倒置法で感情を強める
詩「不思議」は倒置法を使っているため、語勢が強い印象を抱きます。
例えば、「わたしは不思議でたまらない 黒い雲から降る雨が 銀に光っていることが」部分を「黒い雲から降る雨が 銀に光っていることが わたしは不思議でたまらない」と入れ替えてみましょう。
倒置法によって、苛立ちや感情が強調されていることが分かります。
金子みすゞさんは、世の中には不思議がいっぱいあるのにそれを当たり前と言ってしまう人を批判したかったのかもしれません。
子どもの「不思議」を聞いてみる
詩「不思議」では「雨」や「蚕」・「夕顔」について素朴な疑問をつづっています。
大人達に当たり前に見えても、子ども達には謎がいっぱい。
好奇心旺盛な子どもは、「どうして?」と親やまわりの大人に聞いても「それが普通だからよ。」と軽く受け流された経験を持っているはず。
生徒が普段感じている「なぜ?」「なに?」を聞いて、一緒に答えを探してみましょう。
自然や生物への理解力が深まり、勉強の楽しさを感じてもらえるはずです。
「不思議」曲・練習音源
金子みすゞさんファンの作曲家として、詩「不思議」に曲をつけてみました。
ぜひ歌ってみてください。
練習音源(ピアノ)
「不思議」練習音源(ソプラノ)
「不思議」練習音源(アルト)
まとめ
金子みすゞさんの詩「不思議」について解説しました。
同じリズム(韻律)のため心地よく、倒置法によって気持ちを表現しています。
また、子どもの疑問・質問を肯定し、「大人になってもその心を忘れないでほしい」というメッセージが伝わります。
教師として、まわりの大人として、子どもの「不思議」に真摯に向き合っていきたいですね。