こんにちは。合唱作曲家の弓削田健介(ゆげたけんすけ)です。
卒業生に贈る歌として作曲しました「旅立つ君へ」をご紹介します。
旅立つ君へ(歌詞)
(1番)
君は夜明けの空へ 今旅立つ
胸に宿した消えない思いを抱いて
別れの切なさや 明日の不安よりも
きっと大きな喜びが君を待ってる
呼んでいる
夢を叶えていつの日か
最高の笑顔 届けて
寂しくなったら 思い出して
一人じゃないことを
(2番)
真っ白な君のままで
ずっと変わらないで
もしも新しい空が少し意地悪でも
心を開けば星の世界に変わる
愛が紡いだその翼で
きっと自由に飛べるはず
あきらめないでいつの日か
夢の舞台に立つまで
寂しくなったら 思い出して
一人じゃないことを
夢を叶えていつの日か
最高の笑顔 届けて
寂しくなったら思い出して
一人じゃないことを
みんなそばにいるよ
君のそばにいるよ
作者からのメッセージ
学生時代、一緒に音楽(合唱団)をしていたメンバーの中に、ミュージカル俳優を目指していた18歳の女の子がいました。高校卒業後、アルバイトを掛け持ちながら、声楽、バレエ、ダンスのレッスン。空いた時間は近くの神社や公民館で歌の練習をし、東京のミュージカルのオーディションを受ける準備をしていた彼女は、佐賀という田舎町の少ない刺激の中でも揺るぎない決意で自分を律し、夢に向かう、かっこいい仲間でした。
しばらくの準備期間を経て、彼女がいよいよ上京することになり、仲間たちと歌を録音してプレゼントしました。上京して風呂の無い下宿を借りて、バイトに明け暮れ、お金がないからと、多摩川の土手で練習を続け、夢を追いかけた彼女から、数年後に、「くじけそうな時は、あの時もらったみんなの歌声を聴いて勇気をもらっていた」と打ち明けられた時、とても嬉しかったのを覚えています。
「卒業生を送る歌」として、在校生が歌える歌がほしい、というリクエストをいただいた時に、まっさきに思い浮かんだのが、あの時、夢の翼を広げて都会に旅立った彼女に贈った「旅立つ君へ」という曲でした。期待と不安、そして生まれたての夢を抱えながら、新しい時代に歩きだす卒業生たちと、あの時の彼女が重なりました。若かった自分が、たくさんの想いを込めて書いた手紙のような歌です。そんな個人的な「想い」から生まれた歌ですが、在校生から卒業生へ。一緒に卒業する仲間から仲間へ。熱い想いは、時間も場所も越えて、きっと伝わると信じています。