夜空を見上げて、何を思いますか?
大人たちは単に「星がきれいだ」と思うところですが、詩人・金子みすゞさんは違います。
子どもと同じ目線に立ち、夜空の星を昭和の遊び”おはじき”に見立てます。
金子みすゞさんの詩「おはじき」は想像力をかきたてる詩です。
こんにちは、作曲家の弓削田健介(ゆげたけんすけ)です。
今日は「おはじき」詩全文や解説を紹介します。
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「おはじき」全文
「おはじき」の詩全文はこちらです。
空いっぱいのお星さま、
きれいな、きれいな、おはじきよ。ぱらり、とおはじき、撒きました、
どれから、取ってゆきましょか。あの星
はじいて
こうあてて、
あれから
あの星
こう取って。取っても取っても、なくならぬ、
空のおはじき、お星さま。
※金子みすゞさんの写真と詩はJULA出版社内「金子みすゞ著作保存会」の了承を得て掲載しています。
「おはじき」解説
「おはじき」について解説します。
”おはじき”で遊んでみよう
詩「おはじき」に出てくるのはおもちゃの”おはじき”です。
小学校によっては入学時に算数セットを用意しますが、その中にもおはじきがありますね。
ただ、この詩ではおもちゃとしての”おはじき”を指しているので別物です。
昔遊びの一種のため、生徒たちや若い世代の先生は遊んだことがないかもしれません。
ルールを覚えて、”おはじき”を遊んでみると詩の良さが理解しやすくなるでしょう。
子ども目線の詩
詩「おはじき」は少女の目線でつづられています。
夜空の星を「おはじき」に見立てて、一人遊びしているイメージが思い浮かびますね。
「おはじき」と同じく、幼い子ども目線で書かれた他の詩「こだまでしょうか」・「蓄音機」や「彰子」も読んでみましょう。
子どもながらの残酷さや好奇心をうたっているため、生徒たちに人気が高い作品ばかりです。
金子みすゞさんは大人になっても、鋭い感覚や豊かな想像力を忘れなかったことが分かります。
詩のタイプは3種類
小学校で扱う詩には大きく分けて3種類あります。
- 叙情詩:作者の気持ちや心の動きを表した詩
- 叙景詩:自然の風景・景色をそのまま表した詩
- 叙事詩:歴史上の出来事や人(英雄)を歌った詩
現代の詩は叙情詩がほとんどで、詩「おはじき」も叙情詩として扱われます。
夜空がテーマですが、心の動きが入っているためです。
もし景色を忠実にうたっているだけなら叙景詩になります。
叙情詩と叙景詩の違いが分かりづらいので、この際区別できるように教えるとよいでしょう。
まとめ
金子みすゞさんの詩「おはじき」について解説しました。
中学生・高校生を過ぎると、想像力が乏しくなってしまうもの。
ですが、金子みすゞさんは20代ながら小学生(女子)の目線を持ったままでした。
きらきらとした夜空の星を”おはじき”と思える感性を、生徒にも忘れないでほしいですね。