「神さまって何?」
子どもの素朴な疑問は大人たちを困らせますが、一番答えにくいのが宗教に関することではないでしょうか。
大人にもうまく言えない存在を、小学生にも分かるように説明するのは大変。
そんなときに読んでほしいのが金子みすゞさんの詩「蜂と神さま」です。
こんにちは、作曲家の弓削田健介(ゆげたけんすけ)です。
今日は「蜂と神さま」詩全文や解説を紹介します。
弓削田健介プロフィールはこちら
「蜂と神さま」全文
「蜂と神さま」の詩全文はこちらです。
蜂はお花のなかに、
お花はお庭のなかに、お庭は土塀(どべい)のなかに、
土塀は町のなかに、町は日本のなかに、
日本は世界のなかに、
世界は神さまのなかに。さうして、さうして、神さまは、
小ちやな蜂のなかに。
※金子みすゞさんの写真と詩はJULA出版社内「金子みすゞ著作保存会」の提供&了承を得て掲載しています。
「蜂と神さま」解説
「蜂と神さま」について解説します。
出てくるものの大きさは?
詩「蜂と神さま」にはいくつかものが出てきます。
- 「蜂」
- 「お花」
- 「お庭」
- 「土塀」
- 「町」
- 「日本」
- 「世界」
小さいものから徐々に大きいものに変わっていき、最後に「蜂」に行き着きます。
だんだんとスケールが大きくなること、「~のなかに」と繰り返すこと(反復法)が、この詩の魅力と言えるでしょう。
神さまとは何か?
宗教(神さま)を子どもにも分かるように説明するのはとても難しいですよね。
目に見えないですし、会話もできません。
「神さまって何?」と聞かれたら、何と答えたら良いか迷います。
しかし詩「蜂と神さま」は易しい言葉で子どもたちに語りかけ、”神さま”への理解を助けます。
小さな”蜂”から大きな”世界”にも”神さま”は居ると説いています。
命のある・なしにも関係ないようですね。
「大きさや形が変わる”神さま”って何だろう?」と話し合うきっかけになるでしょう。
宗教や考え方によって厳格な答えは違いますが、「いつもそばで見守ってくれる存在」だと理解できるとよいですね。
自分なりの解釈
詩「蜂と神さま」はさまざまな解釈ができます。
- 「キリスト教を説明している。」
- 「仏教、仏さまのことだ。」
- 「自分とそれ以外の世界の話だ。」
- 「空気・酸素のようだ。」
と、人によってまったく違います。
この詩を朗読して、何を感じ取ったのか、素直な感想を発表してみましょう。
また、解釈に正解はなく、「自分なりの解釈で構わない」と伝えることで、詩の楽しみ方が身につきます。
まとめ
金子みすゞさんの詩「蜂と神さま」について解説しました。
”神さま”の姿や名前は人・宗教・文化によって違いますが、「私たちを見守ってくれる存在」というのは共通認識です。
金子みすゞさんは「蜂」にも「日本」にも「世界」にも居る、と考えました。
子どもたちに”神さま”をイメージさせる、理解させる不思議な詩です。